2009年7月21日火曜日

空を飛んだ日

The Alan Parsons Project

もっとも初期に自分がどんな作品を書いていたのか、時折思い出すようにはしていたのですが、実はすっかり遠い過去の向こうへと消えてしまっていました。

昨夜、ちょっと思い出してみました。
25歳の時、初めて書いた芝居。それはフランスの小説「飛行する少年」という作品を下敷きに、三人の空を飛ぶ少年たちの物語でした。

主人公はサトルという名のロックシンガー。
彼には幼い頃二人の友達がいた。一人は、サトルに飛ぶのをやめることを教えてくれた。そして、もう一人はニューギニアの飛べない蝶を探しに岬から南の空へ飛び立っていった。
今、サトルはコンサートを控え、二人の友を失った岬へ来ている。恋人のエリコと一緒に。
サトルは自分の本当の姿を彼女に伝えたい。二人で生きていきたいのだ。
だが、彼には彼女に本当のことが言えない。それは、一旦空へ飛び立つと空の人間の姿が、地上の人間から見えなくなってしまうから。理由はわからない。でもそうなんだ。
やがて、決心したサトルは空へ浮上していく。
彼を見つめるエリコ。しかし、やがてサトルの姿を見失ってしまう。
岬の上空を旋回しながら、サトルはなすすべもない・・・・。姿を消すエリコ。
そして、コンサートの日がやってくる。

こんな物語だった、かなぁ?
なにしろ若かったので、分かりあえない苦しみだけが増幅していたような気がします。
自分の感情に溺れすぎのきらいはありましたが、それでも、なにか音楽とリンクした芝居が創りたくてしょうがなかったことは覚えています。

もし、今創るとすれば、ずいぶん違ったものになるとは思いますが、それでも、あの頃の熱い気持ちと今の経験や培った技術が一緒になれば、面白いものができるかもしれません。
その意味で、つくづく、人生で、できる限り続けるということは良いことだと僕は思うな。
継続はたぶん力であり、継続できることが人生の仕事なんだと思う。

昔々の拙い物語。
でも、僕はそこからはじまったんだ。
「サトル ー飛行する少年ー」というこの舞台のテーマ曲はアラン・パーソンズ・プロジェクトの「Eye in the sky」という曲でした。
今聴いても古びてないなぁ、と思うんですけど。

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