2009年7月30日木曜日

西の魔女について

西の魔女が死んだ:2008

上の娘は自分の気に入った本があると、必ず、僕の所に持ってきて「読め」と言う。
この作品もそんな本の一冊でした。はじめは。

今は「一瞬の風」にはまりまくっている彼女ですが、「西の魔女が死んだ」をいたく気に入り、勧めてくれたわけです。小さい本なので、あっさり読めます。とってもさらりと描かれた祖母と孫娘の物語。小説のラストにぐっときて、DVDを観たら、祖母を演じるサチ・パーカーさんにすっかりはまりました。
実際は僕とさほど歳の変わらない彼女が老け役を演じています。どうみても、僕の母親ぐらいに見えるんです。しかも、日本で暮らして四十年になる凛とした英国夫人。流暢な日本語が、また古い時代を感じさせる美しさで、彼女、サチ・パーカーさん自身が、学習院初等科を出て、二歳から十二歳まで代々木上原で暮らしたなんてことを知らなければ、上手すぎる吹き替えなんて思ってしまうかもしれません。それぐらい、役に同化していました。
確かに、どこかお母さんのシャーリー・マクレーンを彷彿とする瞬間もあるんですが、サチ・パーカーという一人の女優を観た思いがします。

野菜や料理のひとつひとつがすべて美味しそうなんだ!
これはとても重要なことだよ。
サンドウィッチにしても、ジャムにしても、クッキーにしても、サラダにしても、すべてに祖母の愛情を感じさせ、美味そうに感じさせるというのは最高だよ。
トーストを囓る音すら美味そうなんです。いいよぉ!いい!!
前に書いた「ジョゼと虎と魚たち」が和食の極みだとすれば、この映画は洋食系の極みです。
しかも、どちらも日常の生活感漂う料理という点でも共通している魅力があるんだなぁ。。。。

とっかかりは、うちの娘のご紹介だったのですが、本から映画へいって、音楽を聴いて、これは名作だと思いました。
正直、長崎俊一監督も初期のロックものから随分と大人になり成熟したんだなぁ、と失礼を省みず思いました。おそらくこれからもっと重要な監督になっていくんだと思う。
同世代として、中心にロックの在る人間を信じたい。
彼もその一人です。
観て思った、一般的な間口の広い映画かもしれませんが、そこにはやっぱり、音楽があったぜ!
これなんだよ☆

言葉と音楽の融合☆☆☆
娘に感謝です!!!



トレーラー

4 件のコメント:

さとじゅん さんのコメント...

『西の魔女~』

映画は見ていませんが、原作は読みました。中学校では学級文庫に必ず入っている一冊です。

上の娘さんは中学生ぐらいでしょうか?

もし良かったら森絵都さんの『カラフル』を未読でしたらお勧めしてみて下さい。
こちらも中学生に人気の小説でどの学校でも本が何冊もボロボロになるくらい良い子どもから愛されている小説です。

(もちろんオトナが読んでも素敵な寓話です)

映画の料理が美味しそうと聴いて見てみたくなりました。今度、GEOで借りて来ようと思います(旧作が100円なので)

ちなみにもちろんご覧になっているかと思いますが、『かもめ食堂』、『めがね』に出てくる料理も非常においしそうですよね。フードコーディネーターの飯島奈美さんの料理はどれも素朴で美味しい絵になっています。

火山 さんのコメント...

『西の魔女〜』は映画もなかなかいいよ!ぜひ観てください。
『カラフル』は小五の時に、やっぱり読んだそうです。人気のある小説なんだね。今度、僕も読んでみようと思います。

『かもめ食堂』、『めがね』、いいねぇ!!
ほんとに料理がしっかり描かれるってのは、いいドラマの証拠かも。画面から作品に取り組む真面目さと本気が伝わってくるからかもしれません。これは実は舞台も同じなんですが。
飯島奈美さん、すばらしいな。
おにぎり、肉じゃが、トンカツ、ショウガ焼き・・・う〜ん、いい!食べ物をしっかり描くってのは大事なことだよな。

『ジョゼとトラと魚たち』という映画、まだ観てなければぜひ観て欲しいなぁ。ここに出てくるジョゼという少女の作る料理もいいんだよ。
http://volcano-kazan.blogspot.com/2009/07/blog-post_692.html
ブログ内の記事はここ!読んでくれたかな?

さとじゅん さんのコメント...

『ジョゼ』!

すでに見ていますよ~。
ジョゼが作る素朴な料理をやたらと美味しそうに食べる妻夫木に嫉妬したものでした。
物語も田辺聖子さんの原作による力も大きいのだと思いますが、ハッピーエンドではないけれど、グッと心の奥底に残るものがありました。
きっと『ジョゼ』に僕らが出会わなくても、どこかしらで似たような体験を生きているからなのでしょうね、先生が指摘されているように。

飯島奈美さんは本を出されていたり、ほぼ日で連載を持たれていたりします。写真の撮り方も良いのでしょうが、見せられる素朴な料理がとても美味しそうです。良かったら本を買われて、レシピ通りに作られると良いですよ。この本で紹介されているナポリタンは好きでよく作っています。
http://www.1101.com/megane-movie/index.html

火山 さんのコメント...

ありがとう!

さっそくナポリタンいってみましょうか☆

出てくる料理がしっかりしてるってのは、舞台でも映画でも食べ物を「消えもの」っていうけど、それを単なる消えもの扱いしないで、丁寧に作っていこうとしている姿勢があるってことだよね。

前回の僕の舞台ではインスタントラーメンを食べる場面が出てくるんですが、「出前一丁」、それをその場面直前につくり、熱すぎず冷めすぎず、いい具合で俳優たちが舞台の四畳半ですすり合うんだ。
きちんと作って、ちゃんと食べる、そしてごまラー油の香りが客席に伝わっていく、そんな中から1977年を見つめたいと思ったよ。
大事なんだな、食べることは。しかも、ごく普通の食事をね。そんなところにこそ、僕らのリアリティーがころがっている。

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