2009年3月14日土曜日

西荻ロフトで


西荻ロフトで「森田童子」を聴いたのは、1977年だったと思う。

友達と二人で、西荻北口のビルの地下の狭い階段を降りていって、更に狭さを増した空間に入り込む。そこが噂の西荻ロフトだった。
ステージを囲むように、いやステージに迫るように椅子が並び、客は黙ってただアーティストのギターと歌声に耳を澄ましていた。
静かな客席が、その静寂にもかかわらず、どこか涙に似た熱い湿気を帯びていたのを覚えている。

  春の木洩れ陽の中で・・・♪

森田童子の声はか細く、消え入りそうだった。
なのに、こちらの若い胸にナイフを突き立てるように、入り込んでくる。
あれは何だったんだろう?

僕は全共闘世代ではない。
そして、その世代に憧れを抱く人間ではなかった。
むしろ、その世代のむせ返るようなロマンティシズムに嫌悪感さえ抱いていた。

だが、
「僕たちの失敗」という曲は違った。
まさしく全共闘世代の挫折感、言い換えれば、ロマン破れ世間に同調していかざるを得ない青春の末期の姿を歌っているにもかかわらず、僕の心をうった。

たぶんね、本当の気持ちを歌うとね、それは世代を超えるんだと思うんだよ。
僕たちはみんなどこかで失敗してるんだ。
それを、嘲笑うことなく、歌っていたんだな。

この森田童子の曲も今では聴けないそうです。
全て絶版になりました。
こうして、愚かなる後の世代は、自分たちの失敗を振り返ることもなく笑っているのでしょう。
この愚かなる世代こそ、まさしく僕の属する世代であることを肝に銘じよう。

僕らは今も、僕たちの失敗を、生きている。

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