2009年4月22日水曜日

The Giving Tree

Shel Silverstein

American cartoonist and author 

in full Shelby Silverstein

born September 25, 1932, Chicago, Illinois, U.S.

died May 10, 1999, Key West, Florida



“ The Giving Tree ”という絵本があります。

リンゴの木とその木と共に成長していく少年の物語です。

翻訳では「木」は木のままですが、原文では「木」はShe です。すなわち、女性。まるで母のような存在。

「母」とは子にとって基本的には何でも与える存在でした。「でした」というのは、最近ではフェミニズム的な視点からこのような母親像はことごとく幻想のレッテルを貼られ、与える存在の母が否定され尽くしているようにも見えます。これも未だポストモダン的傾向のような気もしますが。
男性にはない女性の与える性の、その豊饒と潔さは、かつては敬われ、今は軽蔑される。まったく不思議な感じがします。ここにも失われつつある価値観の存在を、僕は意識せざるを得ない。

さて、“ The Giving Tree ”では、少年が成長するにつれて、リンゴの実も枝も幹も、すべて与え、最後に残ったのは切り株だけでした。
歳をとった少年がやってきて、木が「坊や、あたしには、もうあげるものはなにもないよ・・・」と言ったとき、少年は「何もいらない。ただ休ませて・・・」と答えます。
すると、切り株だけの木は、思い切り背筋を伸ばして、「さぁ、お座り」と言うのです。
少年は、年老いて疲れた身体を切り株にのせ、休みます。

この物語の大事な部分は、木が「与えること」で「幸福を感じる」ところだと思うんです。
人はもらうことより、もしかしたら与えることの方が嬉しい存在なのじゃないか、それか作者・シェル・シルバースタインの洞察だと思います。

少年がひたすら我が儘な嫌な物語だという人もいるようですが、いやいや、そんな話じゃありませんよ。一方的でも与えることのできる者は幸せなんだ、とこの物語は語っているんだと思うな。
今は奪う者が勝ち組みであるという、最低の価値観で世界は動いています。
この本の意義は、柔らかく、その価値観にNo!を突きつけているところにあるんだよな。

作者本人の朗読で聴いてみましょうか☆これがいいんだ!



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