2009年9月1日火曜日

すべては間に在る☆

近代文化史入門 超英文学講義 by 高山宏

最近読んで気に入った本のひとつです。
僕自身、大学の講義は「比較演劇学」などといって、様々な要素の寄せ集めみたいなものをやっていますが、この本とこの著者の姿勢はとても共感できるんです。

「すべては繋がっている、見えないところで」

このコンセプトはとても重要。
普段はまったく関係のなさそうなモノや出来事の隠された関連性に気がつくとき、僕らの意識は確実に一段上に昇る。

まず前書きに著者が来ている自身の「立ち位置」(スタンス)が興味深い。
「・・・したがって荒俣宏、松岡正剛といった在野の知的ラディカルからはアカデミーの中の人間とみられ、そして本書一読、たちまち明らかなように、正統からは一貫して「異端」とみなされてきた、間(はざま)が僕の仕事の宿命である。」(5ページ)

この立ち位置こそ、僕自身にも当てはまる部分があるような気がする。
勿論、僕はアカデミーの人間ではないし、批評家ですらない。しかし、あらゆるセクトから締め出しを食っているのは事実である。例えば、下北沢を中心とする小劇場のセクトにもいないし、新劇からはじまるセクトにも属していない。
僕自身「間(はざま)」に位置する者である。

そんなところからなのか、とにかくこの本は面白い。様々な分野のあれこれが、こんなにも密接に結びついていてこの世界を作り上げている、そのことをおもちゃ箱をひっくり返したように整理整頓せずぶちまけて見せてくれている。それが素晴らしいんだ!

「近代文化史入門」は比較文化論であり、比較文学、文化要素関係学とでも呼べそうなものである。
僕の比較演劇学も「比較文化要素関係学」かもしれないと思っている。演劇は演劇の言葉だけでは語れない。どの分野でもその分野を乗り越えようとするか、マージナルな位置にあえて立つことで他分野とやり取りしなければ、自己完結してしまうだろう。自己完結したところに成長と変化は生まれないのである。
意外な関係性の発見の中から、覚醒の瞬間が生まれるのだと思う。

ますます「間」に生きようと思う。

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