2008年10月13日月曜日

デジャビュ


昨日は、武蔵小杉にある川崎市市民ミュージアムに行って『劇団 唐ゼミ』の芝居を観てきました。
タイトルは『ガラスの少尉』。
三十年ほど前、赤テントの状況劇場を観たのが、僕の芝居の始まりだったような気がします。
東京に出てきて、はじめて友達と観に行ったのが赤テント。池袋の開発前の空き地でした。すぐそばを山手線が走り、芝居の邪魔だろうなと思っていたのに、山手線の往来までも芝居の一部になっていたのを今でも覚えています。衝撃的な芝居との出逢いだった。
テントの入り口には縄が二列張られ、そこに生の鶏が何羽も吊されていました。一ヶ月の公演の間にそれは腐り、異臭を放つ液体をぽたぽたと滴らせている中を、芝居を観るには通り抜けなければなりません。あれは一種のイニシエーションだったんだな、と今思います。
そして、それはまさしく僕自身の芝居との関わりのイニシエーションになりました。
僕が今目指している芝居とは、形態もテイストも違うけれど、赤テントから僕は芝居の心意気と可能性を学びました。
今回は横浜国立大の元学生さんたちが唐さんから学んだその結果であると思いました。
制作し、演じているのは、今の若者たちなのに、それはまるで時間を三十年遡ってしまったかのような感覚がありました。彼には恐らく新鮮な発見であるものが、僕にはひたすら懐かしいものなのです。まさにデジャビュでした。
そして、芝居が終わったとき、僕ははっきりと思いました。
あの時代を経て来た僕は、やはり僕自身の道を行こうと。
それは間違ってはいないんだと。

君は君の道を行け。
僕は僕の道を行く。
そして、時代は巡る。

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