2010年8月1日日曜日

夏の日に

夏の日に、外の蝉の声を聴きながら観たい映画。

是枝監督の『歩いても 歩いても』はそんな映画だ。

少年を助けようとして命を落とした兄の十五回目の命日、実家に戻った弟の一家と年老いた父と母、そして姉の一家。

物語は淡々と過ぎてある一夏の風景が描き出される。

しかし、ありふれた風景の中に、静かだが激しく行き交う情と情。心と心。

当たり前の普通の風景が、たまらなく胸に迫る。

日常はこんなにもドラマに満ちている、と改めて思わせてくれる。そんな映画。

大宣伝映画にうんざりする向きには、心の糧となり、魂の清涼剤になる映画だと思うな。

ただし油断は禁物。

口に優しい、人情喜劇ではありません。毒のたっぷりこもった物語ですよ。

日常生活にちりばめられた毒の数々。

それに気づき、知るほどに胸が締め付けられるのです。

この映画はもっと知られて良いと思うんだけどね。


映画『歩いても 歩いても』予告編

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