とにかく腹一杯飯を食わないと機嫌が悪くなる僕である。
この性格のおかげで、いままで幾度となく馬鹿みたいに不機嫌になったものだ。
だが、最近、腹八分目の喜びを知り始めた。
焼き魚と青菜のおひたし、そして納豆かなんかがあって、熱い豆腐の味噌汁に切りたての葱がばらばらと入っている。ふーふー言いながら、まずは味噌汁を一口すする。それから、魚を頭からがぶりといく。適度に脂がのっていて、その後、口に放り込むご飯!これが旨いんだ。
ご飯もお代わりは二杯までがいい。
お茶を時々飲みながらゆっくりと食べる。そうして時間をかけると食べすぎることもない。
満足感がゆっくりとやってくる。
これが、結婚以来妻が僕に仕込んでくれた食べる喜びである。
僕には、結婚する前、妻が作ってくれたおせち料理を大晦日の晩に食べ尽くしてしまった過去がある。その年の正月には食べるはずのおせちがないのよ。なんとまあ、喜びの少ない男であったことか!
腹八分目は幸福への準備かもしれない。
あともうちょっと、という地点が時には必要だし、次の機会を強く求める動機にもなりうる。
腹八分目は幸福への動機づけだ。
なんでも目一杯が良いわけでもないだろう。
時には腹八分目もいい。
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