舞台『空にはきらきら金の星 ー落雀の候ー』撮影:雨田えいか 2015.10ウッディシアター中目黒 |
日曜日に無事、舞台『空にはきらきら金の星 ー落雀の候ー』2015年完全版が千秋楽を迎えました。
劇場にお越し頂いた皆様方と舞台に関わって頂いたすべての方々に、改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
今回は本当に多くの方々から、「これで終わりにするな! 」「再演希望!」と声をかけられました。この作品は僕のスタンダード・ナンバーになりつつあるのだなと理解し始めています。
舞台は一回こっきり。その瞬間を共有した人間にしか恐らくは理解できないものです。人から話を聞いても、映画と違って、二度と同じものを観ることは出来ません。本当に切ない芸術媒体です。そして、それが演劇というものの持つ宿命です。
だからこそ、他の作品を上演するのは勿論、この作品は今後も定期的に上演していこうと決心しています。皆様のお力をおかりするときがあるかもしれません。その時はぜひよろしくお願い致します。
不思議なもので、日本の演劇作品の本当に多くが、男性を中心に描かれています。
僕は、女性を中心に戦争を描いてみたかった。しかも、単なる被害者ではなく、自ら現状と戦う者として。日本には、そんな既成の作品がほとんどないことを知り、この作品のテーマと目標が決まったのだと思っています。これまで被害者だと思われていた女性たちの視点から、被害者であると同時に、必死に生き抜こうと戦う存在としての「女」を描くこと。戦争という絶望的な状況の中で、たったひとつ希望があるとすれば、それは生き抜こうとする人間の「健気さ」ではないでしょうか。
障害を持つ少女を中心に、やがて結束していく女たちの姿は、限界状況における人間の生きる本能の証左かもしれません。
かつて、西荻窪の下宿で生きる’70年代の青年たちを描きましたが、人間はだらしなくだめな存在ですが、孤独と向き合ったり、空を見上げたりして、美しい一瞬を生み出し得る存在なのかもしれないと思っています。
人間はかくも醜く、かくも美しく、かくも愛おしい。
僕は、そんな物語を描いていきたい。