2010年11月17日水曜日

ボブ・シーガー

1985年の6月に公開された映画がありました。それは『マスク』と言います。
緑の仮面の男が主演のあのマスクではありません。

それはもう一つのエレファントマンの物語。
少年の名はロイ・リー・“ロッキー”・デニス。頭蓋骨形成異常、頭蓋骨にカルシウムが溜まり変形する通称ライオン病と呼ばれる病に冒されていた。しかし、バイカーだった母とその仲間達との交流を通して少年は病を抱えながらその短い生涯を一途に生きた。
そんな実話が元になった映画でした。
ピーター・ボグダノビッチという監督はペーパームーン以降は不遇でしたが、台詞のない俳優の演技を上手にすくい取るので僕は好きでした。この映画でも母親を演ずるシェールの無言の涙だったり、息子の声を思い出しながら遠くを見つめる場面だったり、とにかく台詞のない部分の演出がいいんだな。いいんだよ、ホント。
単なる闘病お涙頂戴映画に堕していないのは、作り手側が主人公に共感していても、それでもなおセンチメンタルを超え、希望を見ようとする姿勢があるからじゃないかな。
あの八十年代の中頃にして七十年代の匂いがたっぷりする映画なんだ。よって、当時は日本ではヒットとまではいかなかったのではなかっただろうか。だからこそ、この作品は傑作です。そういう作品を傑作にする姿勢があるんだな、この映画には。

その姿勢をこの映画の最後を飾るボブ・シーガーの曲に感じます。
Bob SegerのRoll Me Awayは生き続けるとは何かを歌った曲です。何とも濃い歌声なので好き嫌いはあるかもしれません。が、僕は大好きだな。
まずは曲を聴いて、歌詞を味わおう☆
人生の道を決めるとき、僕らの心は歌い出すんだよ。心の声を聴くというのは、心の歌声に耳を澄ますことだったんだ。
Roll Me Away-Bob Seger-(Lyrics and Song)


元々はブルース・スプリングスティーンが使われることになっていたそうですが、諸事情によってボブ・シーガーになりました。後に出たディレクターズ・カット版ではスプリングスティーンに変えたそうですが、駄目です。
映画のラストシーンを観ると、この曲以外は無理だということが分かる。この曲で正解でした。この曲以外には考えられない。映画のラストは一人の少年が一所懸命生きた人生が走馬燈のように流れていく。・・・No money in my pocket. Sun shining on my face......

“MASK” 1985 Last Scene

2010年11月16日火曜日

お知らせ☆

なかなかブログの更新できずにいます、がTwitterなんていう流行ものを導入してみました☆

ブログにするほどでもないツブヤキはTwitter で書き込みます。

本来は舞台公演等のお知らせ用にと思って導入したTwitterですが、しばらくテストで使ってみようと思います。
ブログが少し止まっていても、Twitterは動きますから、もし興味のおありになる方はフォローして下さい、ナウ。

☆上野火山☆


2010年11月11日木曜日

こんなん、どすか?

ヘタにもほどがある。

しかし度が過ぎると微笑ましい感じもする。

正直言ってダイッ嫌いなタイタニックのテーマもこうなると清々しいな☆

ニコニコでさっき見つけた香ばしい動画をプレゼンツ!!(元ネタはYouTube)

窓から差し込む陽の光と青い空☆

そして、このリコーダーの音に、俺は笑いが止まらない!!!

My Heart Will Go On - Recorder By Candle Light by Matt Mulholland


おまけ☆
このマット・マルホランド自身による「プロみたいに吹けるリコーダー講座」だよ!
合わせて観ようね☆心がどんどん生温かくなってくるね!!

Play The Recorder Like A Pro - A tutorial by Matt Mulholland

2010年11月5日金曜日

中国について考える本☆


『変わる中国、変わらぬ中国 ー 紀行・三国志異聞』(彩流社刊) 佐藤竜一 著

ビデオが流出し尖閣諸島問題で揺れる日中関係ではありますが、昨今の中国のあり方を見て脊髄反応的に反中を掲げてもおっちょこちょいの誹りは免れないでしょう。無関心も頂けませんが、心して行動したいものです。

そんな折、僕の友人の(現)岩手大学講師である佐藤竜一君が新著を上梓しました。
かつて八十年代に中国を訪れた彼から聞かされた話はとても豊かで味わいのあるものでした。僕のあずかり知らぬ中国の細々としたお話。便所の話に始まって料理や文学、そしてやがて政治体制の話と彼との対話は忘れがたいものでありました。

今回出版されたこの『変わる中国、変わらぬ中国 ー 紀行・三国志異聞』という本は、そんな彼の体験的中国論です。
中国を愛する彼ですが、そのバランス感覚は優れたものです。
例えば、第一部・99ページから始まる「南京大虐殺記念館」に関する記述や、それに続く「国営放送の弊害」などの項では、現在の中国の抱える問題につながる党の方針に無自覚に従う中国の人々の思考停止状態に対する危惧を、短い文章の中で鮮やかに見せてくれる。中国の一般民衆の中にある「愛国無罪」的な中華思想的思考状況がしっかりと描かれています。
同時に、人々との心の触れ合いをセンシティブに描いていく。
アイリス・チャンによる「The Rape of Nanking: The Forgotten Holocaust of World War II」など足下にも及ばない中国への深い愛情と絶望がきちんと表現されている。
深い批判と絶望は、よりいっそう深い愛情から生まれるんだな。それがよくわかるんだ、この本を読むと。

この本の後半は「三国志」にさかれています。
そもそも三国志から始まった彼の中国に対する愛は、やがて宮沢賢治を経て、詩人・黄瀛(こうえい)に行き着き、政治思想よりもむしろ文学的芸術的愛情から、彼は中国という巨大な文化と再会したのだということがわかる。
だからここには調子の良さは一切ないのです。むしろ地味で静かな情熱に充ち満ちている。

彼の厳しくも優しい眼差しは、中国の人々の暮らしや学生達の息遣いまでこちらに届けてくれる。
それは相手が日本人であれ中国人であれ、筆者である彼、佐藤竜一君には他者や先人に対するリスペクトする心があるからなんだよな。
絶対忘れたくねぇな、リスペクトする精神ってやつ。
そこからすべては始まるんだよな。

旅行記であり文学論であり、同時に政治史的に八十年代以降の中国と向き合った一人の男の物語だと僕は思うよ。

みんな読んでね☆

ここをクリックすると書店ですぜ!(興味のある方はこちら)

2010年11月2日火曜日

Rage Against The Machine - Revolution In The Head And The Art Of Protest

もはや単なるロックバンドを超えたプロテスト・バンド「Rage Against The Machine 」☆

未だにこの国では何かと言えば極上のエンターテインメントなどというコピーがそこら中に溢れていますが、時代はもはやエンターテインメントなどというユルい状況ではなくなってるんだ。

少し目を覚ます意味で、1時間45分にわたるRage Against The Machineに関する研究動画を観てみるのも一興かもしれない。そろそろ、足の引っ張り合いや出る杭は打たれる式の下らないあげ足取りはやめて時代の本当の問題と向き合おうぜ☆

まずはここに現在のロックのひとつの姿がある☆

Rage Against The Machine - Revolution In The Head And The Art Of Protest

Arguably the most provocative band of the last 20 years, Rage Against The Machine have since their explosive debut, been the group most associated with the American protest movement. This film dissects the work and career of RATM and looks at their place in this always fascinating lineage of artists and performers who have spoken out on behalf of, and drawn attention to, the world's marginalised, downtrodden and oppressed. Picking up the flame from a linear musical tradition going back to the War Of Independence, with the best known protagonists coming up during the 1950s and 60s civil rights movement via artists such as Pete Segar and the young Bob Dylan, the anger remained as brutal as ever during the final decade of the 20th Century in Rage and contemporaries like Public Enemy. FEATURING: Brand new interviews with; renowned Rage producer and engineer, Garth Richardson; RATM Biographer, Colin Devenish; the band's live sound engineer, Dave 'Rat' Levine and the man who signed them Michael Goldstone. With further contributions from folk-protest singer and author Jerry Silverman, ex-'Rolling Stone' editor Joe Levy, and Professor of American Studies and English at Washington State University, T.V. Reed.

歌謡曲のお話

時代を追想するとき音楽は強烈な導入剤になる。それは確か。

不思議なのは自分の体験しなかった時代の音楽ですら、時代を追体験する重要要素となり得るってこと。

1930年代のアメリカなんて僕にはまったく計り知れない時代と場所だが、トミー・ドーシー・オーケストラの「It’s only a Paper Moon」を聴くと確実に1930年代のアメリカに飛んでいける。勿論、映画「ペーパームーン」のイメージなんですが。

戦後間もない頃の「リンゴの唄」も東京のドヤ街をすぐ想像できるほど映像と強く結びついている曲だな。

最近、映画で聴いて引き込まれたのは是枝監督の「歩いても 歩いても」で挿入された「ブルーライトヨコハマ」でした。
年老いた母が語る小さな物語の背後に流れるこの曲は、苦くそして痛く観る者の心に突き刺さってきました。昭和四十年代を静かに思い出したんですね。

「ハチのムサシは死んだのさ」って知ってます?
これも昭和四十年代のまさに昭和歌謡曲だな。この曲を聴いて特定の何かを思い出すわけではないのですが、ボンヤリと子供の頃の自分を追想してしまいます。随分インパクトのある曲なので、演劇やドラマで使用されたことはあまりないように思います。いつか僕が使っちゃうかも。
聴き直してみるといいんだな!アメリカン・ニュー・シネマの洗礼を受けた世代としては主人公が死んでいくという物語にえらく共感してしまうんですね。人生がトントン拍子にうまくいって最後はハッピーエンドのはずがないじゃないか!!もしそんなものがあれば、そんなのは嘘だッ!!っていう思いに突き動かされていた時代。
世間は高度成長期でイケイケだったけれども、個人の精神状況は決してイケイケではなかった。それどこらかむしろ、どこか「悲しみと哀れ」が世界を包んでいた、そんな気さえします。
昭和歌謡とは殺伐とした世相の中で、それでも生きる意欲と魂を歌い込み描き込んでいたような気がします。
故・内田良平さんの詩は、太陽に向かって討ち死にしたハチのムサシの滑稽だけど潔い生き方を夕陽に照らされた畑の中で描いています。
僕たちはひょっとしたら宮本武蔵よりハチのムサシの生き方を真似した方がいいんじゃないか?なんてこともちょっぴり思います。このドンキホーテ的姿勢こそ今必要な生きる姿勢なんだと僕は思うよ。
たかが歌謡曲。時代のあだ花かもしれない。それでも、こうして思い出す人間もいるんだから、捨てたもんじゃない。
ハチのムサシは死んだのさ、でもオレのムサシは死んじゃいないぜ。

「ハチのムサシは死んだのさ」 平田隆夫とセルスターズ

2010年11月1日月曜日

久しぶりの太陽光

すごい西日!と言われ、ベランダへ☆

久々に見る輝く太陽がそこにありました。
台風が去っても、台風一過というわけにはいかないぐずついた天気でしたが、午後から幾分よい天気になりました!

嘘臭いことばかりの世の中ですが、空を見上げれば清々しいですね☆

リアルをしっかり受け止め味わいたいものです。天を見上げて「明日天気にな〜れ」と祈るほどナイーブでもなくなり、すっかり汚れちまった俺ですけど、こんな空を見せたかったな。
昨日夕方5時1分前、西荻窪の駅で飛び込みがありました。
すっかり慣れっこになってしまったかのような飛び込みですが、慣れるはずがないんだ。今朝の新聞にも載ってない事故ですが、あの人には今日という日がなく、この太陽の光を見ることは永遠にないのだと痛切に思う。

久しぶりに見た太陽光の向こうに「死ぬな!!」と俺は叫んだぜ!
この世で何人逝こうが人数じゃないんだぜ。
一人でも無駄に逝くなよ!と俺は馬鹿のように心の中で叫ぶ。

あっという間に太陽は沈んだ。
それでも光に晒されて俺は心の光合成ができたと思う。

明日、また光を見よう!!
一人の愚か者として、一日を味わおう。
俺はそう決めた。


☆上野火山☆

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