ジョゼと虎と魚たち:2003
サガンの小説に出てくるジョゼと名乗る少女に出逢ったのは、ほんの偶然の出来事だった。
乳母車に乗る足の不自由なジョゼは、魔法のように美味い飯をつくる。
そんな彼女に惹かれ一緒に暮らすようになるが、やがて別れがやってくる。
別れの日、彼は振り返りもせずに出ていくが、途中で泣き崩れる。
ジョゼは、また淡々といつもの暮らしを送っている。
魚を美味しく焼きながら・・・・・。
映画のストーリーをこんなに簡単にまとめてはいけないのは重々承知しておりますが、それでもこの映画の骨格だけは明らかにしておきたいと思いました。
最もありふれたラブストーリー。
でも、決して歯の浮くような有り体の物語ではない。ここにあるのは、切ると血の出る物語。
だから、ラストに二人が別れていくとき、観ているこちらは心が痛くてたまらなくなる。
この映画は、愛しく心の痛む映画です。
それ故に忘れられない作品だ。
ジョゼの読書し料理をつくる非凡さと恒夫の凡庸さに呆れながら、その日常的な要素のひとつひとつに頷きながら観てしまう。ハリウッド映画にはない日本人の生活感があるんだな。
食事も男女の関係も、まさにエロティシズムが生活の中でしっかりと描かれていると思う。
こんな風に僕らは生きている、と痛みの中で実感できる。
田辺聖子さんの原作も素敵だし、犬童一心さんの監督としての視線に惹かれました。
happy endingではなくても、それはそれ、人生ってことで納得できる嬉しい作品です。
予告編。くるりの「ハイウェイ」が最高☆
映画の中の白眉。食事シーン。
これがあるからこの映画は成功してるんです☆本当にうまそう!!
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