Heaven's Hammer: A monster tornado unleashes its wrath across Alvo, Nebraska, travelling at over 70mph |
この世には奇妙な一致が数え切れないほどあるが、これもそのひとつかもしれない。
「福島原発事故は「神の仕業」=東電の責任否定-与謝野経財相
与謝野馨経済財政担当相は20日の閣議後会見で、東京電力福島第1原発事故は「神様の仕業としか説明できない」と述べた。同原発の津波対策に関しても「人間としては最高の知恵を働かせたと思っている」と語り、東電に事故の賠償責任を負わせるのは不当だとの考えを重ねて強調した。」
ーーー引用終わり
米国のハリケーン・カトリーナがニューオーリンズ地区を壊滅させたとき、同地区出身で共和党のリチャード・ベイカー議員が述べた言葉が次のものだ。
「We finally cleaned up public housing in New Orleans. We couldn’t do it, but God did. 」
(訳)「我々はついにニューオーリンズの公共住宅を一掃した。我々にが不可能だったが、神の仕業だ」
ーーー引用終わり
神の仕業、便利な言葉である。
日本においては企業にもその企業の大株主である外資にもまったく責任追及の必要性がないという理由が「神の仕業」であり、一方米国においては貧困地区の公共住宅を壊滅させた天災に「神の仕業」といって感謝している政治家がいるのである。
昨日もミズーリ州で起きた巨大竜巻で九十人近くの方が亡くなったという小さな記事があった。英国では暴風、トルコでも地震、そしてリビヤではマグニチュード8.5の大地震があったようだが、たちまちその情報がネット上から消されてしまった。しかしガセではないようですよ。
NHKの朝のニュースが典型的だが、海外のニュースをこの数ヶ月すっかり流さなくなってしまった。
いずれにせよ、神の仕業がそこら中で起こっているわけである。
先日の竜巻で亡くなった人々の多くが貧困地区の黒人達であったと言われています。なぜに慎ましく暮らす人々を執拗に神の仕業が襲うのだろうか。自然災害だから?しょうがない?
ただひとつだけ、僕はこう思う。
神の仕業というセリフを吐く人間は、恐ろしく共感を欠いた人間だと。
新自由主義やグローバリゼーションが世界を覆い、新世界秩序をめざす今、恐ろしく「共感」する能力を人間は失いつつあるのだと思う。
その者たちに共通する表情は、土気色の輝きのない顔色と濁った光を失った目である。
神の仕業ではない。
すべて、人間の仕業なのだ。
自然災害を理由に、誰が苦しみ、誰が利益を得ているのか。それを見極めれば、人間が問題であることはすぐにわかる。
日本政府は、今日から「社会保障の効率化」を 目指すそうである。すなわち、国民健康保険等の医療費の見直し、年金の支給年齢の引き上げが決定されていくわけである。
この災害の時に、様々な法案が可決され、次々と改革が行われていく。これこそ、ミルトン・フリードマンの提唱してきた「災害民主主義」の実現なのだと思う。
もう一度言う。
これは神の仕業ではない。人間の仕業なのだ。
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