Stranger Than Paradise is a 1984 deadpan comedy film written and directed by American director Jim Jarmusch. It stars jazz musician John Lurie, former Sonic Youth drummer-turned-actor Richard Edson, and Hungarian-born actress Eszter Balint.
ジム・ジャームッシュは好きな映画監督の一人です。
まず紹介したいのが、これ。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』1984年制作のモノクロ映画です。
一種のロードムービーですから映画らしいっちゃ映画らしいんですけど、三幕構成なんだよね。ってことは、いわゆる演劇の基本構造である三幕劇を映画でやってるってわけです。一幕が終わるごとに暗転して繋いでいく辺りに舞台劇を意識していることがよくわかります。昔のチャップリンの映画でもフェイドアウトの仕方が至極演劇的でしたが、この映画もまたその系譜であえて作られてんです。
登場人物は三人。ダメダメな男二人と、妙な女が一人。その三人が旅に出る。
この映画は三の倍数、あるいは三の要素でできてるって言ったら言いすぎだろうか?
いずれにしても、妙な三人組のお話しです。
この頃のジャームッシュの特徴は、俳優にミュージシャンを起用するという点です。
男二人はともにミュージシャン。んで、いいんだなぁ、これが。ミュージシャンのもつ独特のノリが既成の俳優とは違った味を醸し出します。
とはいえ、これまでも書いてきたけど、俳優の仕事と音楽は密接に繋がっています。すべてではないにしても、いい俳優はどこか音楽の要素を持っているものです。そして、いいドラマは常にどこかに音楽の要素を抱えています。
主演のジョン・ルーリーのトボケた味は、彼にしか出せません。いつも唇をとんがらせて、不満そうに斜めに見る彼の姿はジャズそのものです。彼の吹くサックスそのもの。
とにかく奇妙な映画です。
一幕のニューヨークからはじまって、二幕はクリーブランド、三幕はフロリダ。
流れ流れて、いったいどこに行くのやら。
そして、最後はとうとう置いてきぼり・・・・。
ゆるすぎるお話し。そのゆるいスタイルが気にいると、俄然、何故ジャームッシュがカルトな映画作家であるかが理解できるんだな。
この監督こそ現代日本に育ちつつある新しいリアリズムの芝居の原点なのだということを忘れてはいけません。あのバブルで、名作が生まれにくい状態にあった八十年代の映画界で、突如現れた「ゆる~い日常の冒険」を描きまくったジム・ジャームッシュは、今観て再認識される必要のある監督だと思うよ。
以前紹介した北野武の「あの夏いちばん静かな海」では、この映画のある場面そのままのシーンが出てきます。サーフボードを持って海へ向かうシーンですが。そんな風に引用される映画でもあるんだな。
それから、「情けないことを受けとめる」ことが「カッコイイ」と教えてくれた映画でもありますね。
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