“ Wag the dog “ 1997
If the tail were smarter, the tail would wag the dog.
『もし尻尾の方が賢けりゃ、尻尾が犬を振るだろう』
最近、9/11に関する映画が何本か放映されていました。
観てないものもあったので、一応見てみましたが、どれも「肝心」のところがうやむやのままで、亡くなられた方々やなんとか助かった方々をひたすら切なく悲しく描くのみでした。
でも、本当に知りたいのは「なぜこんなことが起きたのか?」でしょう?なのに、それに答えようとする作品は一つもないのが現状です。
その意味では、出来事の本質は、今もなお誰も触れることが出来ないのかもしれません。
少なくともオリバー・ストーンなどという監督ははなから信用してませんが、彼だけではなく、ハーベイ・カイテルは鋭い意識を持った俳優で定評があるのに、実在しWTCで亡くなった元FBIのオニールさんを演じながら精彩を欠いていました。人物の表面をなぞっただけのような気がします。
例えば、9/11を描いた「フライト93」はDocu-Dramaなどと言って、出演者の一部も現実の管制官などでかため、事実を強調した作りになっていましたが、墜落した飛行機の内部で実際何が起こっていたのかは、誰にもわからない。にもかかわらず、一部ドキュメンタリーと称してフィクションを作り上げることを、どうして誰も「捏造」と呼ばないのか不思議な気がします。
これまで9/11について作られてきたアメリカの映画も戯曲(例えばThe Guys)も、自国に対する自己憐憫から一歩も出ていません。
それに対し、ロバート・デ・ニーロの創り出す映画は鋭い。それは確かです。
いちばん最近は、2006年の“ The Good Shepherd “(グッド・シェパード)で、CIAの誕生とそれを支えた人間をリアルに描いています。スパイとして生きることがどういうことなのか深く探求している映画です。
そして、もうひとつ。
1997年の“ Wag the dog “(ワグザドッグ)は、ふざけたコメディーとして当時は受けとめられ、今もあまり語られることがない作品ですが、実は予言的な映画だったのです。
簡単に内容を言えば、大統領のセックス・スキャンダルもみ消しのために、「もみ消しのプロ」デ・ニーロがハリウッドからダスティン・ホフマン演じる映画プロデューサーを呼んで、戦争をでっち上げるというお話し。
90年代初頭の湾岸戦争を念頭おいて作られたようですが、実際はその後のクリントン政権やブッシュ政権での様々な出来事が彷彿とされる作りになっています。
当時のこの映画のキャッチ・コピーは「やっちゃった。バレちゃった。 大統領はセクハラ隠しのため、ヤラセの戦争をおこした!」でした。
レッドフォードの「大いなる陰謀」はこのキャッチコピーの内容をシリアスなドラマに仕立てました。それに対し、デ・ニーロはコメディーにしたのです。「大いなる陰謀」ではスキャンダル隠しではなく、大統領出馬の布石という目的でしたが。
映画は良くも悪くも「プロパガンダ」です。しかも、僕らの価値観に直接的に影響を与える力があります。だとしたら、どんな映画も油断してみるわけにはいきません。娯楽だからそんなのどうでもいいというのは、油断のしすぎかも。僕らはそうやっていつの間にか、ある方向へ導かれているのかもしれません。
例えば、フランスがナチに対して行ったゲリラ戦は「レジスタンス(抵抗する者)」と呼ばれ、様々な映画で英雄として描かれるのに、今、アメリカ以外のゲリラはすべてテロリストと呼ばれています。ついでに今や、アメリカに対抗しようとする国はことごとく「テロリスト国家」と呼ばれるんですね。日本は真珠湾をテロ攻撃した初期のテロ国家ということになっています。民間人に対し人類ではじめて核攻撃を行い、世界で最も多くの核兵器を保有する国アメリカが、他国に核を持つことを許さないというのは、どこか変じゃありませんか?
反戦というのは、六十年以上戦争していない日本ではなく、むしろアメリカに対して言うべきことではありませんか?
アメリカはオバマになろうが、常に唯一「正しく」、常に「裁き」を与える国なんですね。そうやって見えない敵・テロとの戦争は永遠に終わりそうもない。
そんなことを、本当に信用していますか?
あまりにもあからさまなでっち上げは、人は「まさか?」と思い信用してしまう。イラクにしてもアフガンにしてもソマリアにしても、本当の目的はいったい何だろう?
不思議なことをひとつ。
こんなテーマでブログを書くと、必ず一度ブログサイトに繋がらなくなるのは偶然ですか?
単語レベルでチェックされている、なんてのは気のせいなんでしょうね。
今観るべきは、こっちの映画、「ワグザドッグ」なのでは?
今観るべきは、こっちの映画、「ワグザドッグ」なのでは?
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