先進国の教育が破壊されつつあるというのは自明のことだが、その破壊の仕方の典型は、学習を暗記型にすることで習慣的に創造する機会を奪うことにある。暗記することが学習の基本だと思い込まされた人間は、判断するための想像力よりも、知っている知識量の方を優先するようになる。かつて日本の学習の特徴といわれたこの暗記型学習が今や全世界に行き渡りつつある。つまり、判断力の基本である想像力、もっといえば「妄想力」が奪われつつあるのである。アメリカの教育制度の中身が、ブッシュによって大幅に軌道修正され、暗記型へ舵を切ったのも911以降であることは偶然ではない。今世紀に入り、冷戦構造という古い飽きられつつあった体制を捨て、新たにテロとの戦いに世界は突入したのである。新しい仮想的は東側でも西側でもないテロリストであり、民主国家は同盟国として連携しなければならない。正義の国アメリカとその一派 vs. テロリスト国家、という冷戦時と形を変えながら実はまったく同じ単純な二項対立の構図。善と悪の構図。そして、大切なのはこの構図を疑ってはならないということだ。