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2009年12月11日金曜日

チェーホフの短編を観る☆本気の話

昨日、日頃お世話になっております「劇団TAG」の芝居を観てきました。

我が演劇ユニット「空中スケッチ」のメンバー、佐々木隆夫君が客演しております。

チェーホフの短編を中心に上演している彼らの芝居は、とてもとても熟成していました。とにかく作り手の成熟の度合いをあらために認識させられました。観ているこちら側の成熟度も同時に測るいいチャンスだった思います。チェーホフをただの尊敬心というリスペクトだけではなく、より深く原題とリンクさせた作りは、非常に創造性に富んだものでした。
二十代から知っている鎌田さんと御嵩さんが織り成す大人の古典劇の趣ですね。

若い俳優である佐々木君も、とても良い経験をさせてもらったようです。

この場を借りて、劇団TAGの皆さんに感謝!です☆

今回は百年前のロシアの女たちをめぐる物語のオムにバス。いいんだな、これが。奥ゆかしさと同時に、現代の日本にも在り得るリアリティーのある物語世界が繰り広げられていました。
チェーホフは「書けと言われれば、あの灰皿からでも物語を書く」と言っておりますが、まさにその言葉通り、日常の些細な事柄が物語として色鮮やかに彩なされる様は、まさに職人芸。
チェーホフは実に職人(アルチザン)であった芸術家の一人です。そして、それを感じさせてくれる舞台でした。

いい舞台を観て、その余韻に浸りながら、夕方から大学へ!
昨日の講義は、講義ではなく珍しく劇映画を観ることにしました。授業中にDVDを観たのは今年は三回のみ。その中で劇映画はこの作品一本でした。
それは「竜二」。金子正次のデビュー作にして遺作。
学生たちは三十年近くも前の、しかもニューヤクザ映画などというジャンルの映画に大いに戸惑ったかもしれません。でも、若い彼らにぜひ見せたかった。
本気の映画の一本だったから。

昼間の舞台にしても、大学の映画にしても、どちらも本気なんだな。
「本気」はとても大事な姿勢です。
本気だけが、意味あるものを提示できる。
本気を嘲笑うより、本気で馬鹿と呼ばれたい。それこそが本望。

チェーホフも金子もどちらも若くして亡くなったけれど、その魂は受け継がれていると思う。
本気で人生を遊びたいと思います。

さて、今夜は、雨の中銀座へ向かいます。
銀座で一本芝居を観せていただきます。前回「エクスタシー」という翻訳劇を上演された演出家・高瀬一樹さんの新作翻訳劇「ブレーメンの自由」を観ます。小さな劇場で、人間心理を抉るように描くその舞台に期待したいと思います。
ここにもまた一人、本気の人がいるようです。

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