Dexter Gordon
(February 27, 1923–April 25, 1990) was an American jazz tenor saxophonist and actor. He is considered one of the first bebop tenor players.
主演は実際のサックス奏者デクスター・ゴードンでした。
198センチという大きな身体で、飄々と年老いたジャズマンを演じていました。
物語は、パリで演奏活動する往年のサックスプレーヤーのデイル・ターナーとその演奏に惚れ込み必死にサポートするフランシスという青年の心の交流を描いたものでした。
同じ八十年代のジャズ映画にチャーリー・パーカーの生涯を描いた「バード」があります。主演のフォレスト・ウィテカーの好演もあり、監督のクリント・イーストウッドのジャズへの傾倒からしか生まれ得ないような夭逝した天才の苦悩を抉り出すように描いておりました。
ですが、僕はJAZZ映画をひとつ挙げろと言われれば、なんの躊躇もなく「Round Midnight」を挙げると思います。
この映画は特別です。
何が特別なものにしているかというと、架空のミュージシャンを実在の40年代から活躍する本物のミュージシャンに演じさせているという点です。
なんという贅沢☆
本人自体が、伝説の人なのに、酒に溺れぎりぎりの演奏を聴かせる稀有な才能を伝説として演じる。これはまさにフィクションのふりをしたノンフィクションではないか、と思うのです。
人はこんなにもひとつのものを愛せるんだ、ということが音楽と共に確信のように押し寄せる。
決して無関心ではいられない熱いなにかが画面から伝わってくる。
ドラマは音楽で、音楽がドラマであることが切実に理解できる。
音楽と共にあることをこんなにも祝福する映画作品もまた稀有である、と僕には思えるのです。
愛というのは男女だけではないし、人類だけですらないよな。
愛ってのは、空気のように、目に見えないが僕らを祝福するものかもしれない。そして、同時にその人生を呪うものかもしれない。でも、だからこそ、「愛」を感じたいと思う。
宗教人たちは、かつて、それを「神の声」と呼んだのかもしれない。
演奏している風景も、しわがれ声で語り合う風景も、ふらふらと巨体をゆすりながら歩く姿も、すべてデクスター・ゴードンという音楽に生涯を捧げた本当のミュージシャンの姿が、そこにあるのです。
その意味では、どのシーンも、何度味わっても飽きることのない深い味わいに満ちた映画だと言えると思います。
ジャズを扱ったり、ジャズが効果的な映画は数多くあれど、この映画はジャズそのものを正面から描いた傑作だと思います。
この映画でアカデミー賞までノミネートされたデクスター・ゴードンですが、四年後に亡くなりました。これも僕の愛する映画のひとつです。
Round Midnight Trailer
As Time Goes by - Round Midnight
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