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2010年8月16日月曜日

逆光


逆光は写真撮影で嫌われることが多い。

でも、実は、僕は「逆光」が好きなんだ。

背景の光で、周りの対象物が黒く塗りつぶされてしまうけれども、逆光は世界の「深さ」を教えてくれる。

世界は僕らが意識しているより遙かに深いようだ。当たり前だと思われるかもしれないが、この深さに案外気づかずに暮らしているような気がする。

この世界の彫りの深さ、意味の深さ、味の深さ、不安と恐怖の深さ、絶望の深さ、そして希望の深さ。

逆光を通して見ると、目の前に並んだ普通の車の列が、奇妙なほど意識を持って感じられるのだ。

僕は科学者ではないので説明も何にもできないけれど、逆光の中で人は気づかなかったもう一つのリアリティを感じられると思うんだ。

それは、あまりに強すぎる光のせいで目がくらんだお陰で、残りの四感で感じようとするからだろうか。
普段、あまりにも視覚に頼りすぎているので、逆光の目つぶしは、ちょうど良い残り四感の解放のチャンスかもしれないな。

いずれにせよ、逆光はなかなかに良いものだと、僕は思っている。


☆上野火山☆

1 件のコメント:

  1. 写メールが届いた。
    『よさこい祭りで踊る子供達だけど、逆光で分かるかな?』
    眺め入り返信した。
    『正直、暗闇でハッピ姿の子供が四人立っているのが確認出来る程度です。
    でも、思わずシャッターを切りたくなる程の熱気と、子供達の情熱は伝わりました。』



    カメラを通して撮った人の心が映っているのである。逆光は映像ではなく、逆光を承知でシャッターを切った人の…‥その瞬間の思いが詰まっているのではないだろうか。


    翌朝のメール
    『おおっ、感じてくれたか』
    だった。

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