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2009年10月3日土曜日

でっかい奴!

サンダ対ガイラ:1966東宝

昨夜、テレビで「キングコング」をやっていた。
でっかい奴が美女のために命を投げ出すという、まさに「美女と野獣」もの。
ラストのジャック・ブラックのセリフ「この巨大な野獣を殺したのは一人の美女だった」。嘘つけ!アンという女優の言葉を無視して、ニューヨークに連れ帰って騒動を起こしたのは映画監督のジャック監督だったではないですか!

まぁまぁ、冷静になって考えてみると、やっぱりこの映画、映像はスゴイと思うけど、内容はナイヨウ。すみません、おやじですから。。。。

その点あれだな、今から43年も前の映画「サンダ対ガイラ」はほんとによくできた作品だったと思います。
CGも何もない頃、ひたすらミニチュアセットと縫いぐるみで頑張っていた頃の、東宝怪獣映画の伝説的傑作だよ。
この映画を観て、夜眠れなくなったのを覚えています。
夜、山の向こうからガイラが現れ、田んぼを駆け抜けやって来るんじゃないかと考えただけで、恐ろしくなったものでしたよ。ほんと。

これもでっかい奴の話。
同じ細胞から分裂してできたサンダとガイラと兄弟がいた。サンダは人間に育てられ、ガイラは海で成長する。サンダは皮膚が松かさでできており山に逃げ込む。そして、サンダは海藻の皮膚を持ち、人間を捕らえては貪り食っていた。
やがて、ガイラが羽田空港に現れ、人を次々と食い始める。山から下りてきたサンダが、凶暴な怪物へと変わり果てた弟サンダと対決することになる。
海底火山の噴火の中で兄弟の最後の戦いが繰り広げられる。

この日本の怪獣映画では、モチーフが「海彦山彦」で、美女と野獣ではありません。
それ故、ロマンチックでセクシャルなものは皆無ですが、逆に「兄弟」であるとか「絆」であるとか「実存の不確かさ」といった、生命の存在の悲しみが、通奏低音として流れているのです。
奇しくも兄サンダは、幼い頃本当に優しい子でした、と研究者が語っているが、それこそ異形のものの持つ禍々しさと哀れさがよく表現されていたと思います。
この辺が、アメリカ映画にはない日本映画の醸し出す軽みと深みなんだろうと思います。

僕の中では、何気なく比較してしまいました。
まったく時代も、内容も違う映画ではあるけど、「でっかい奴」というカテゴリーでくくると、まさに比較してみたくなる作品でした。

サンダ対ガイラ:東宝1966予告編

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