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2009年4月10日金曜日

ピーター・ブルックと風

King Lear: Directed by Peter Brook, 1970

ピーター・ブルックほど巨匠にもかかわらず、生き方に巨匠臭さのない人も珍しい。
写真は1970年の彼の監督した映画「リア王」の一場面。

ピーター・ブルックが若い時期にグルジェフに傾倒していたというのを知ったのは、彼の自伝「ピーター・ブルック回想録」が出てからですから、随分後になってからです。

僕自身、かつてグルジェフの思想に触れ、大きな影響を受けていると思っています。特にグルジェフワークを続けようという気はありませんが、グルジェフの思想には、目の前の常識をゼロに戻し、感覚を生まれた状態から再開させるなにかがある。
「人は生涯眠ったままなのだ」と言ったのはグルジェフです。
人は如何にして「覚醒する」のか。これこそグルジェフのテーマであり、ピーター・ブルックのテーマでもあったかもしれません。ピーター・ブルックの方が遥かに柔らかいアプローチですが。

ピーター・ブルックの回想録はグルジェフの思想と彼自身の関わりで埋まっている本だとも言えます。その意味では、他の著作物、たとえば「なにもない空間」であるとか「殻を破る」というような本より読者を選んでしまうかもしれません。でも、とても素直に自己の人生に対するグルジェフの思想の影響を語っている辺りに僕はとても共感します。

「リア王」のこの写真を見てもわかるとおり、ピーター・ブルックの舞台は風を感じさせます。映画だからではなく、屋内のステージであっても、どこかで彼の舞台は風が吹く。

おそらく、それは彼自身が覚醒への長い道のりを旅し続けているからではないでしょうか。
まるで、風の中を疾駆する馬のように。


ほんのさわりの部分ですが、どうぞ。

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