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2009年3月8日日曜日

舞台『放課後』を観て


今日は、僕自身講師を務める文化学院の卒業公演でした。
劇作家で演出家の阿藤智恵先生の指導の下、学生による学生のための舞台がそこにありました。
作、演出は学生の桐野翼君。勿論出演もスタッフも学生達。

僕にとって高校生活は、かれこれ三十年以上も前のこと。
僕自身いつか小説か戯曲でその当時のことを書いてみたいと思っていますが、わずか数年前の出来事である若者たちが自分たちの物語を語る姿は、それだけでかなりの感動ものでした。
彼らにとって、ほんの数年前の出来事は生々しいけど、同時にみずみずしい体験なんだな。
芝居全体に漂う何ともいえない寂しさ、あれは当事者の感覚だよな。
「放課後」か。
なんかタイトルもいいのよ。タイトルだけで切ないもんな。
大人がさ、なんか分析的に若い人間を描いても白々しいだけです。
きっと、その年代にしか描けないものってのもあるんだよね。
登場人物が、どこかで恥ずかしさを抱えているところがよかったなぁ。
なんだろ?
恥ずかしさを丁寧に描くってのは、創作の基本なんじゃないのか?
だから、学生の手になる作品というと、不完全なものを想像しがちですが、そうじゃない。
丁寧な作り方をしてるんだ。
学ぶべきことだと思うよ。
人間の恥ずかしくも愚かで切ない生活を、丁寧に描く。
もしかしたら、これこそがこの時代を覆うどうしょうもない価値観に対抗できるものなんじゃないだろうか。
丁寧に。丁寧に。
人間を描きたい。

僕は若者たちの舞台から、こんなことを、今日学びました。

ありがとう。

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