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2006年7月17日月曜日

素朴論

素朴であることは何にもまして良いことだ。

どんなに状況が複雑であっても、素朴さは力強さと共にある。
もし素朴さを失ったら、僕らはどこまでも抽象化された生命から最も遠くかけ離れたものになるだろう。死を意識したとき、僕らは素朴さに立ち返ることができる。挫折したときに、僕らは素朴さを取り戻す。愛を失ったときに、素朴さに戻るチャンスがある。

何かを失うことなしに素朴さに至ることは難しい。

成功して舞い上がっているときに人は成長しない。だが、失敗したとき人は成長するのだ。素朴さは成功より、むしろ失敗と共にある。

ものを知らないことが素朴なのではない。
愚かであることに居座ることが素朴なのでもない。
うかうかと騙され、搾取されることが素朴なのでもない。
怠け者が素朴なわけでもない。

目の前にあることを、しっかりと見つめることのできる者が素朴なのである。
明日を思い煩う前に、今できることを必死に行うことのできる者が素朴なのである。
他人の目も評価も関係なしに、己の喜びで生きることのできる者が素朴なのである。

風に吹かれながら、その風に向かって、愚か者として必死に生きることのできる素朴な者に、僕はなりたい。

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